国内の株式を投資対象としている投資信託は、運用会社が円を使って金融商品の買い付けを行っています。ところがアメリカ株式のみを投資対象としていれば、円では取引ができません。
一旦、円をドルに両替してから、ドルでアメリカ株式を購入するという手順を踏んでいるのです。投資先がヨーロッパの債権なら、ユーロ建てで債券を保有することになります。そこで注目すべきが、為替ヘッジ付きの投資信託です。
為替ヘッジありなしの投資信託とは
為替ヘッジ付きの投資信託とは、簡単に言うと為替の影響を受けるか受けないかということです。為替ヘッジありの場合、購入した投資信託は為替の影響を受けません。つまり為替ヘッジなしのタイプを選ぶと、為替変動によっても損益が発生します。
米国の金融商品を投資対象とする投資信託が販売されていたとします。1ドル100円の時に100万円分、購入し、3ヶ月後に為替レートが1ドル110円となっていれば、ドル円の変動から10万円の利益が発生していることになります。当然、1ドル95円の円高にレートが動けば、5万円の損失です。
そのため為替ヘッジなしの投資信託を運用した場合、投資家は分配金と基準価額の変動幅、為替の変動幅の3つから利益を狙うことができるのです。為替ヘッジありというタイプを、為替レートからの影響を受ける商品と勘違いしてしまいがちですが、為替ヘッジ付きはなしの方ですので気をつけましょう。
為替ヘッジありなしのどちらを選ぶべきか
為替ヘッジなしの商品は投資性が増すため、ある程度のリスクを取れる人に向いています。また将来的に円安に進行すると思っているのなら、為替差益が生じる可能性は高くなりますので、投資価値は十分だと言えます。
為替ヘッジありの商品は分配金と基準価額の変動のみに注目していれば良いため、為替が上か下かといった余計な問題を抱えずに済みます。よって投資信託初心者やリスクを取りたくない人に向いています。為替レートが円高に振れると思っている人も、ありの商品を選ぶべきでしょう。
ただし為替ヘッジありの商品には、ヘッジコストと言う手数料がかかります。信託財産から自動的に差し引かれるため、わざわざ払い込む必要はないのですが、そのぶん基準価額は下がります。
海外の金融商品を運用している投資信託は全て為替ヘッジ付きなのかというと、そうではありません。商品によっては投資家自身で、ありなしの選択を行えます。目論見書に、為替ヘッジあり・なしの2コースを選択いただけます、という具合に記載されています。