投資信託は利回りが高いと言われています。しかし、運用利回りは売却又は償還日を迎えた時に、どれだけ利益が出ていたかで結果が変わります。
固定金利の金融商品とは違い、毎年決まった成果が得られるとは限りません。そのため募集時の内容だけで投資信託の良し悪しを決めつけないようにしましょう。
分配金から運用利回りを考える
投資信託を保有していると、分配金が支払われます。例えば募集開始時の値段が1口10,000円の商品を、10年間保有すると決めて購入したとします。
1口あたり500円の分配金を毎年受け取れる場合、運用利回りは年間5%ということになります。10年間も保有していれば、10,000円の元金に対して5,000円も分配金が受け取れるのです。
ただし、分配金は投資信託の運用成績によって変動します。市況の悪化に伴い、5年目から分配金が200円に下げられたらどうなるでしょうか。5年目までの2,500円、残り5年で得られる1,000円が分配金となるのです。
つまり10,000円の投資資金に対して、10年間で3,500円の分配金が支払われたことになりますので、運用利回りは3.5%です。買い付け金額が1,000万円であれば、10年間で得られる分配金も500万円と350万円と随分な差が生じます。
分配金の利回りの計算については投資信託の利回りの計算方法のページを参考にして下さい。
基準価額から運用利回りを考える
投資信託が新規に設定され募集開始となると、基準価額は10,000円からスタートします。その後、関連市況などの影響を受けて日々基準価額は値動きを繰り返していきます。よって購入時と売却時の基準価額によって、運用利回りも大きく変わるのです。
もしも国内株式市場が活況ということで、日経225をベンチマークとしたインデックスファンドを基準価額16,000円の時に1口購入したとします。10年後に基準価額が20,000まで上昇していれば、10年間で4,000円の売却益が発生していますので、運用利回りは2.5%だったことになります。
基準価額がほとんど変わっていないのなら、運用利回りは0%です。もちろん購入した時が日経平均のピークであったなら、購入時の基準価額は売却時を下回っていますので、利回りはマイナスだったと言えます。
分配金と基準価格を切り離して説明しましたが、本来は2つを合計して運用利回りは計算されます。基準価額10,000円の時に購入した投資信託を10年間保有、毎年分配金が500円支払われたとします。
売却時に基準価額が8,500円であれば、分配金5,000円と差損1,500円を合計した3,500円から運用利回りは計算されます。基準価額は買値よりも結構な額下がっていますが、分配金によって運用利回りが3.5%の投資信託だったということになるのです。
購入した時の金額と結果どれだけ利益が出たかに注目すると、月間や年間、累積運用利回りが導き出せます。