投資信託は株式投資やFXと比較すると、リスクが低いというイメージが強いです。実際に証券会社や銀行の営業マンは、安定した収益に期待できる金融商品ですよと勧誘をしてきます。
では、安定した収益とは一体何を指しているのでしょうか。投資商品である以上、安全だと言われている投資信託からも損失は発生します。契約が済んでしまえば、仮に損をしても自己責任となりますので、仕組みをきちんと理解しておくべきです。
目次
基準価額による損益
投資信託は投資家から集めたお金を使って、運用会社が株や債券に投資をし、そこから得た利益を分配する仕組みの商品です。そのため商品ごとに運用成績は違ってきます。
日々の運用結果は基準価額と呼ばれ、インターネット検索をすれば各投資信託ごとの値動きが閲覧できます。
基準価額が10,000円の投資信託を1口購入し、1ヶ月後に9,800円に下がっていれば、200円の損失が発生していることになります。当然、10,500円に上がっていれば、500円の利益です。
値上がりすれするほど、基準価額から得られる利益は多くなっていきますので、いつ購入するかが大事なポイントとなります。
投資家に還元される分配金
投資信託を購入すると、運用成績に応じて分配金が還元されます。毎月分配される商品もあれば、6か月ごとや1年に1度だけという商品もあります。分配回数が異なるというだけで、利回りが同じ商品ならば1年間で得られる分配金の額は一緒です。
これは円預金で言うところの金利と同じ役目を果たしています。基準価額が10,000円の商品に対して、募集開始時から毎年1,000円の分配金が支払われると利回り10%になります。
もしも、これから先も同じ金額の分配金が支払われ続ければ、保有しているだけで毎年1,000円の利益が得られるのです。
ところが分配金は運用成績が良ければ上昇、悪ければ下落します。高利回りの投資信託になるほど、値動きの荒い金融商品を買い付けているため、突然に分配金が0円になる可能性もあるのです。分配金が0円になってしまえば、利益は基準価額の値上がり幅からしか得られません。
しかし分配金が還元されない状態に陥っているということは、基準価額も値下がりしているはずです。残念ながら償還日との兼ね合いもあるため、どの金額で損失を確定させるかという話に切り替わります。
もちろん安定して分配金が支払われている投資信託を購入できれば、保有期間が長くなるほどに利益を積み上げていけます。
投資信託の利益にかかる税金と確定申告
投資信託で税金は発生するのかについてですが、投資信託での税金は、通常の収入と同じように掛かってくるものです。
ただし投資信託の税金は、利益を上げた場合のみに発生するものであり、投資信託を購入しただけでは税金は発生しません。手放した場合でも、結果的にマイナスとなっている場合はやはり発生しません。源泉徴収ありの投資信託であれば、税金は利益分に対して20%が自動的に源泉徴収されます。
税金のかかる分配とかからない分配とは?
毎月分配型の投資信託では、月々受け取る分配にも税金が発生しますが、中には税金の発生しない分配もあります。通常通り税金が発生するのが「普通分配金」となり、もう一つの「特別分配金」が税金の発生しない分配となります。
特別分配金とは、元本を切り崩して払いだされている分配金であるため、利益ではないのです。
投資信託の利益について確定申告は必要なの?
確定申告は、給与以外の一年間の所得が20万円を超えている場合は必要となります。しかし源泉徴収されている場合は、証券会社を通じて納税済みとなっているので、確定申告は不要となります。
しかし、複数の口座を利用している場合、それぞれの口座にて損益を通算することが可能であり、これを利用すると源泉徴収されている税金の一部が返還されたり、譲渡損失の繰越控除によって、その年の損失を最大で3年間、繰り越すことが可能です。税金を払い過ぎている方は確定申告した方が有利となるケースもあるので、慎重に判断しましょう。
投資信託の利益確定のタイミング
利益確定に動くタイミングは難しい?どんな熟練の投資家であっても、利益確定を決めるタイミングは難問であり、重要なテーマとなっています。
つまり初心者ではなかなか正しい答えを見つけることが難しいのです。利益確定した時点で資産が増えたとしても、その後の価格が上昇していった場合に対応できないなどの問題があるのです。
利益確定にはコストが発生する
利益確定は無料ではなく、税金や手数料が発生します。税金に関しては利益分から必ず一定量引かれることになるわけですが、一方の手数料は、繰り返せば繰り返すほど費用が発生することになります。
そのため、一度利益確定してしまうと、その後の投資にはなかなか結びつかなくなりますし、頻繁に繰り返していると手数料だけでおおきな損失を生むことになります。
部分売りで投資信託を続ける
利益確定には、いつまで投資信託を続けるか、という大きなテーマが含まれています。長期的に続ける場合は、ずっと投資信託に資産を回しておくことが望ましいのですが、しかし資産をいつまでも現金化できなければ、楽しみ甲斐もありません。
利益確定をするタイミングは常に考えておくべきですが、この時に大切なのは、一部分のみ現金化するという考え方です。投資額を上回っている部分のみを現金化し、それ以外は継続して投資しておくことで、今後の値上がりを狙うことも可能になります。ずっと続けていくなら、利益確定を我慢し、投資を続けることも大切になるのです。